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【再生の街 水谷門下生の震災15年】(中)神戸市兵庫区・松本地区 (産経新聞)

 ■心つなぐせせらぎ

 ゆるやかに蛇行する歩道に沿って続くせせらぎ。穏やかな流れをニシキゴイが泳ぎ、水辺に色鮮やかな花が並ぶ。国土交通省の「美しいまちなみ大賞」にも選ばれたこの一角は、「あのとき、水があれば」との住民の思いから生まれた。

 神戸市兵庫区のほぼ中心に位置する松本地区。地区内に公道はほとんどなく、4メートル以下の私道に接する木造民家が密集する下町だった。震災では折り重なるように倒れた家屋に火災が広がり、8割が焼失。16人が犠牲となった。

 神戸市は震災の約2カ月後に都市計画案を決定。住民の間に立つ専門家として市から派遣されたのが、都市計画家の故・水谷頴介の門下生でまちづくりコンサルタントの辻信一(60)だった。

 地区では震災後、「まちづくり協議会」を設立。設立総会で会長の中島克元(54)は「やるからには結果を出す」と大声で叫んだ。合言葉は「一日も早い復興を」だった。

 都市計画案の道路は、2メートルの停車帯と3・5メートルの歩道を両脇に設けた4車線。「交通量が増えて環境が悪くなる」「道路がないからじゃなく、水がないからやられたんや」など、反対の声が圧倒的に多かった。

 辻とともに地区に入ったコンサルタントの山口憲二(61)は、「水路はどうやろ」と提案。以前訪れた独・フライブルクで、通りに水が流れ人が集う光景に感激した経験があった。「おもろいな」「消火の役に立つ」と話は進み、市の下水処理場から高度処理水をひくことが決まった。道路は2車線となった。

 「掃除も必要だし、お荷物では」などの反対意見もあったが、中島は「コミュニティーの維持には多少、“世話が焼ける”ような装置が必要」と考え、住民の説得に回った。

 震災から6年後の平成13年9月にせせらぎは完成。処理水は温かく藻が大量発生するなど確かに「世話が焼ける」が、毎月住民総出の掃除が行われ、「今まで一度も汚れたことはない」と中島は胸を張る。「住民が顔を合わせなくなればせせらぎは濁る。コミュニティーのバロメーターです」

 せせらぎを前にすると、辻は「まちづくりはまちを作って終わりではない」との水谷の言葉を思いだす。せせらぎを通じてつながり続ける人と人。その取り組みは、街の未来へとつながっている。(大宮健司)=文中敬称略

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